
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
身体の上に感じた重みに目を開けば、それが何かを認識するより前に口を塞がれる
「ん……」
閉じていた唇を舌で押し開かれ、口内に千秋さんが入ってきた
歯列をなぞられて舌の裏を舐められる
「ふ、んん……ちあきさ……っ、」
僕の腰あたりに跨ってキスをしてきていた千秋さんの肩を押すと、千秋さんがゆっくり離れた
「どうかしましたか?何か不安でもありますか?」
出来る限り穏やかに問いかけたつもりが、何故か千秋さんは眉を寄せて顔を歪めてしまう
「今日……シないんですか?」
「ん?」
僕が頭を撫でながら聞くと、今にも泣き出してしまいそうなほど顔を歪めた千秋さんが僕の服の胸元を掴んだ
「……え、っち……シない、ですか?」
カーテン越しに窓から入る僅かな月明かりに照らされた千秋さんは綺麗で、自分の理性が揺らぐのを感じた
「千秋さんに無理させたくないんです。昨日敦史とシたんでしょう?」
「……大丈夫です……」
困ったな
僕も千秋さんと同様に眉を寄せたのを見て、千秋さんが不安気な顔をする
「横に寝て下さるだけでいいんですよ?」
「でも……」
尚も食い下がる千秋さんに違和感を覚えた
