
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
驚いたような、困ったような顔をした千秋さんに、今日は何もしないアピールで無視して携帯を弄りだす
暫く僕の顔を見ていたようだったけれど、諦めたのか布団に潜った
その気配を感じて息を吐く
シたい気持ちがないわけじゃないけれど、無理させてまでスることないよね
さっきも考えたようなことをもう一度考えて、自分を納得させる
実際、携帯もただ弄っていたわけではなくてやることはある
特にお客様にするメールは1日も欠かすことは出来ない
No. 1に対する敵対心とかそういうもので負けられないなんて考えているわけではなく、漠然と仕事だから、という理由
ホスト仲間には随分前のお客さんにも丁寧なメールをするからマメだな、なんて言われるけど
「……ふぅ……」
二時間ほど大勢の人にメールを打って、目を休めるために瞼を閉じる
そろそろ寝ようかな
携帯で時間を確認して、充電器に繋ぐ
千秋さんを起こさないようにもぞもぞ布団に入った
「ふぁ、ぁ……」
大きな欠伸をして、ヘッドライトを消した
真っ暗な中で自分の呼吸音だけ聞こえる
そういえば千秋さんの寝息が聞こえない、なんて考えた次の瞬間
「!」
