
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
顔をほのかに赤くした千秋さんを連れて僕の部屋へ
ベッドのヘッドライトのみ点けて、他の電気を消す
薄暗い部屋で僕がベッドに腰掛けてもまだ部屋の中央で固まっている千秋さんに声をかけた
「千秋さん?寝ましょうか」
僕はベッドの下に下ろしていた脚をベッドの上に上げて、千秋さんを手招きする
「……」
僕の方に少しずつ近寄って、僕の横に座った千秋さんは僕と同じように上半身は起こしたまま腰まで布団を掛けている
緊張してるの、可愛いんだけれど
今日はシないですよ?
僕はできる限り優しい笑みを浮かべて千秋さんの背中に片手を回した
もう一方の手を布団の中から膝裏に回して、軽く持ち上げながら千秋さんを身体ごと下にズラす
背もたれに寄りかかっていた千秋さんを完全に寝かせると、頭を撫でた
「僕はもう少しやらなきゃいけないことがあるので。先にお休みになってください」
「……ぇ……」
期待を裏切られたような顔をした千秋さんを見て胸がきゅん、と締め付けられたけど、無理はさせられない
頭を撫でていた手を頬に移動してちゅ、と触れるだけのキスをした
「おやすみなさい、千秋さん」
「……」
