
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
カフェオレなら飲めます、と僕が淹れたカフェオレを美味しそうに飲む千秋さんに微笑んで僕も席に着く
「千秋さん、最近お仕事をしている姿を見かけませんが忙しかったりしませんか?」
雑談のつもりで僕が話しかけると、千秋さんは顔を上げて「うぅん」と唸る
「最近はそんなに忙しくないんです。一番忙しかった時より仕事抑えて貰ってるので」
「どうしてですか?」
「……」
僕の質問に一瞬考えるように黙った千秋さんは悪戯っ子のように笑って
「ひみつです」
と笑った
もう、可愛すぎるよ
「千秋さんてば、ツレないですね」
僕がその可愛さに耐え切れず頬を指でつつくと千秋さんは擽ったそうに笑う
「悠史さんは、お仕事いかがなんですか?」
えっ
そんな、恋人が他の女性に優しくしてる話なんて聞きたいかな……
僕は聞きたくない、けど……
「ぇ……聞きたいですか?」
僕は動揺のあまり聞き返してしまった
しかし返ってきた千秋さんの返事に際限なく頬が緩む
「だって、知っておきたいじゃないですか。自分の好きな人がどんな人とどんな話しをしているのか。僕には見えないんですから……」
