
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
僕は心の中で苦笑して「終わりましたよ」とうなじに鼻を埋めた
自分のは自分で乾かして、千秋さんとリビングに移動する
夜にコーヒーを飲んでも眠れなくなったりしない僕は、喉の渇きを癒すためにブラックコーヒーを淹れた
「千秋さんも何か飲まれますか?今なら暖かいものでも大丈夫ですよ」
僕が声をかけると、落ち着くのかソファで丸くなっていた千秋さんが考えるように「えーと」とつぶやく
「じゃあ……ブラックコーヒーをお願いします」
あれ
コーヒー?
普段飲んでるの見かけないのに
「こんな時間に飲んで眠れなくなったりしませんか?」
「……大丈夫です……」
変な間をとって答える千秋さんに違和感を覚えつつも、僕は自分と同じブラックコーヒーを淹れて千秋さんに差し出した
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
携帯をチェックしようと一度部屋に戻りリビングに戻ると、千秋さんはコーヒーを飲みにくそうにしている
僕がコーヒーの匂いをさせていたから合わせてくれたのかな?
「ふふっ、やっぱり飲みにくそうですね。無理に僕に合わせることないですよ。カフェオレにしましょうか」
