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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声


「あ……っ」


小さく声をあげた千秋さんが首を抑えて振り返ったから、その唇に僕のを押し当てた


首筋舐めたのは失敗だったかもしれない
こうしてキスが出来るなら、しないほうが良かった

千秋さんの味が薄まってる


僅かに不満を感じつつも、それなら味が濃くなるまで出してもらえばいいかと開き直った


「ふっ……ぅん、ん……」


くちゅ、ちゅ、と厭らしい水音が浴室内に響く

音が響きやすいここだと、本当によく聞こえる


千秋さんの小さな喘ぎ声まで、全部


思う存分千秋さんとのキスを愉しんでから口を離して、どちらのものともわからない唾液で濡れた千秋さんの唇を舌で舐めた


「そろそろ上りましょうか。逆上せてしまったらこまりますから」
「……ん……」


上気した頬を撫でるとその手に擦り寄ってくる様が何ともまた可愛らしい


ドライヤーで髪の毛を乾かしていると、千秋さんがうつらうつらし始めた


「眠いですか?」
「平気です……僕、こうやって乾かしてもらうの、好き……」
「ふふ、そうですか」
「敦史さんの、も……気持ち……かった……」


ここで敦史の名前を出すなんて、妬けるな……

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