
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
「僕も千秋さんが喜んでくれているなら嬉しいです」
そう言って微笑むと千秋さんは頬を赤く染めた
可愛い
仕事終わりに癒された僕は席について夕食を食べた
夕食を終えて、僕は片付けを買って出た
「夕食の片付けは僕がやりますから、先にお風呂どうぞ」
僕の言葉に千秋さんは何故かそわそわと肩を揺らしている
「?どうかされましたか?」
「ぇ、と……」
そう言ったきり黙ってしまった千秋さんの顔は真っ赤に染まっていた
それを見て納得
緊張、というか構えてるのかな
昨日僕がスるなんて言ったから
僕はふふ、と笑みをこぼして千秋さんを引き寄せると、耳の裏にキスを落とした
「!!」
「やっぱりソファに座って待っていてください。お風呂は一緒に入りましょうか」
微笑んだ僕に、千秋さんは更に顔を真っ赤にする
「は、い……」
小さな声で返事をした千秋さんの耳まで赤いのを後ろから見送って洗い物を再開した
洗い物を終えて僕がリビングに行くと、千秋さんは平然とソファに座ってテレビを見ている
緊張が取れたのかな、と思ったのだけれど違ったみたいだ
「千秋さん?囲碁に興味があるんですか?」
「!?」
テレビに写っていたのは「今日の一局」という囲碁番組だった
