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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声


まだ気にしている風な敦史が可愛く見えてせっかくセットした髪の毛を潰すように頭を撫でた


「あ!?おい!!」


敦史が声を荒げて、控え室のみんなが一瞬僕たちの方を見る


「敦史は今日何が何でもアフター行ったほうがいいよ」
「は?なんでだよ」


僕に潰された髪を戻しながらイライラした口調で敦史が話す

それか面白くてまた笑って
僕は敦史の耳元に口を寄せた


「他人のならどうも思わないのかもしれないけど、千秋さんの可愛らしい喘ぎ声をただ聞いてるだけなんて生殺しでしょう?」
「!!」


「じゃあ後でね」と言って僕は僕にしかわからない程度に頬を染めた敦史を置いてその場を去った



「よし、じゃあ今日も頼むぞ」
「「「はい」」」


始業前のミーティングが終わり全員が続々と定位置に並んでいると、僕の横に来た敦史が僕の背中を力一杯抓った


「いっ、たたたたたたたっ」


僕が身を捩ってどうにかその痛みから逃れると、何故か敦史に勝ち誇った顔をされる


本当に痛いんだけど……?
敦史くん……?


文句を言いたかったけれどそれをされたのがもうお店を開ける直前で、何も言えないまま店の扉が開かれた

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