
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
頼んだものが机に運ばれてくると、レイナさんは「すみませんっちょっとお手洗いにっ……」と席を立った
……なんか少し帰りたくなってきてしまった
でも誘いを受けたのは自分なのだから、とコーヒーを飲んで落ち着く
携帯を開いて時間とメールを確認
メールを返したりしていたんだけど、レイナさんは一向に帰ってこない
え……帰っちゃった?
ってそんなことないか
再びコーヒーに口をつけて、暫く外を眺める
まだ来ないなー……
もうコーヒーも半分、となったところでもう一度時間を確認した
そろそろ、仕事の時間迫ってきたんだけど
あまりに遅い帰りについトイレの方を振り返った時、ちょうどレイナさんが帰ってきた
「すみません。遅くなってしまって」
「いえ……」
カフェオレに口をつけた女性が「あの、ところでどこにお住まいなんですか?」と普通に話しを続けようとしたから、僕は失礼なんだけど話しを遮る
「すみません。申し訳ないのですが、僕もう仕事に行かなくてはいけないので失礼してもいいですか?」
「え!?え……えと……」
レイナさんは僕の言葉に焦り出す
呆れた
自分のせいで時間がなくなったのに
