
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
少しびっくりした様子のレイナさんは「そうなんですか……」と言ったきり黙ってしまった
こういう場合僕からも質問を返したほうが良いんだろうけど、年齢は僕からだと聞きにくいしなぁ
相手から言われれば話題広げられるのに
お客様ではない女性が久しぶりだったせいか扱いに困ってしまう
ご趣味は……って違うよね
お見合いかっていう敦史のツッコミがどこからか聞こえてくるようだ
とりあえず
「普段は何をされてるんですか?」
仕事、と言うと直球すぎるから、とりあえず趣味でも仕事でも答えられるこの質問にしてしまった
「ぁ……え、と……」
当たり障りない質問をしたはずが何故かレイナさんは困惑している
「普段、は……家で本を読んだり、してます……」
読書
趣味が合う方なのかな
「僕も本を読むの好きなんです。好きな作家さんとかいらっしゃいますか?」
「え、えぇ、と……」
共通の話題を見つけたからそこから広げていこうかと思いきやレイナさんはまた困ったような顔をした
さっき腕を組んできた積極的はどこへ行ってしまったんだろう
なんだか、僕が誘われた筈なのに僕が気を使ってるなぁ
逆ナン成功すると思っていなかったんだろうか
それとも本当は罰ゲームか何かで、早く終わらせたいとか?
