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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声


情けない
男らしくない


寝よう


明日も仕事なんだから


僕は外の音が何も聞こえないようにイヤフォンをして小さめに音楽を流した

幸運だったのは今日身体が疲れていたこと

何も考えずに横になれば、抵抗もなく眠りにつけた



音楽を聴きながら眠るのは脳が眠らないから良くないというのが本当なのかはわからないけれど、あまり疲れも取れないまま目が覚めてしまった

外が明るいから起きてもいいだろう、といつもよりかなり早い時間に身体を起こす

昨日浴びれなかったシャワーを浴びて、迷った結果僕は『今日は先に出ます』と書き置きを残して家を出た

喫茶店でコーヒーを飲みながら朝食をとり、仕事の時間まで本屋に入る


適当に時間を潰してからお店を出て歩いていると


「あの、すみません」


と声をかけられた


「お時間ありますか?ご迷惑でなければお茶でもしませんか?」


振り向いてみると逆ナンなんてしなそうな清楚な見た目の女性が立っていた


「えぇと……」


最近なかったからか僕が答えに困っていると


「少しでいいので、ダメですか?」


首を軽く傾げながら尋ねる女性に、恋人がいる僕は断るべきだったんだろうけど


「少しなら……」


と承諾してしまっていた

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