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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声


俺は鏡を見た

そこにうつっているのは髪がへたれた俺


可愛い?
これが?

普段ワックスで固めてっしブリーチかけてっから傷んでるし
それにこれぐらいの髪の長さの男探せばいんだろ


意味がわからない、と素直に言うと千秋は嬉しそうに微笑んだ


「いいです。僕だけが知っていればいいことなので」
「なんだよ。諦めんな。お前小説家だろ、伝えろよ」


髪の毛をかき混ぜるように頭を撫でると「わ、わ……」と驚いていた千秋が


「決めました。僕だけの楽しみにするので、誰にも教えません」


と言ってきた


ほんと、従順な優男かと思いきや意外と悪戯好き?みてぇな面があるよな


洗い終わった身体にお湯をかけて泡を流し、立ち上がる


「おら、あがんぞ」


千秋の脇に腕を入れて持ち上げると「ふゃ」と猫みてぇな声が漏れる


「はは、なんか今まで驚いたりしても何も言わなかったのが突然反応されると面白えな」
「わ、笑い事じゃないですよっ」


そう言った千秋の顔は真っ赤に染まっている


恥ずかしかったのか、さっきの


脱衣所に運んでタオルで拭き、寝間着を着せる

俺も服を着てからドライヤーで髪を乾かしてやった

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