テキストサイズ

言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声


「映画……」とまた俺の言葉を反芻した千秋は俺の目を見て


「僕もある程度映画のお話お付き合いできます」


と言った

その目は対抗心に溢れていて思わず吹き出しす


他の奴と話すなってこと?
可愛すぎかよ


俺は千秋の額にキスをした


「あぁ。千秋が不安ならやめてやるよ」
「!」


俺の言葉に千秋は目を見開いてから喜ぶ
その顔を見てまた笑って


「よし、風呂行くか」


と起き上がった
立てない、と言う千秋を抱き上げて風呂場へ

悠史を起こすわけにはいかないから静かに移動した


「自分で綺麗に出来るか?」
「はい」


ちゃんと言葉が返ってくるっていいな


頭と身体をしっかり洗った千秋が湯船に浸かってから俺は自分の頭を洗った


お湯で流して今度は身体、と洗っていると


「敦史さんの、その、髪洗った後が好きです」


と千秋が言ってきた


「あ?なんで?」
「なんか、女の子みたいで。可愛いです」
「はっ、こんな金髪の女が好みなのか?意外と見た目に合わねえ趣味してんな」


俺がそう言うと千秋はぷぅ、と頬を膨らませる


「違います!女の子が好きなのではなくて、敦史さんが好きなんです!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ