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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

「なんだよ?」


俺が目つきを鋭くして尋ねると一瞬怯んだような流はそれでも顔を真っ赤にさせながら半ば叫ぶように言い放つ


「僕っ……やっぱり、流星さんのこと諦められません!!流星さんのことが好きなんです!一度でいいから……」


そこで言葉を切った流は一度俯いて


「抱いて欲しい、です……思い出に…………ほんとに、一度でいいんです……」


蚊の鳴くような小さな声で言った


「あぁ?」
「女の子は抱けるのに、僕はだめですか?」


真っ赤な顔のままで俺を上目遣いに見た流は何も考えずに見ればそこそこ可愛い


だが俺はそんなことより気になったのは前に悠史に言われて答えが出なかった言葉


なんで俺は流を拒絶するのか

結構真面目に考えて、それでもわからなかった


「……いいぜ。抱いてやるよ」


考えんの面倒くせえ
ヤってみりゃわかんだろ

最悪ダメなら途中でやめりゃいい


相手に失礼すぎる考えを持ちながらも、基本他人がどうなろうと構わない俺は流の方に足を踏み出した


「?」


しかし後ろから引き止めるように袖を引かれ俺の足は一歩で止まってしまう

引き止めていたのは、千秋だった

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