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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

シャワー室で汗をすっかり落として再び私服に着替えた俺たちが向かったのは俺が予約していたちょっと高い店

とはいっても庶民派として有名なその店はそこまで着飾った奴もいなくて、普通に普段着で来るような店だ

『こんな高そうな店初めてかもしれない』と呟く千秋に悠史と俺で笑って、あんま緊張してもいいこと無いぞとアドバイスしておく


出てきた料理はそりゃあどれも美味くて、千秋も満足してくれたらしい


身体動かして、美味い飯食って
言うことないな


千秋からも楽しかったと褒められ俺としても満足


「良かったですね、悠史」
「あぁ」


後は気持ちいいセックスでも出来りゃ最高なんだが
ま、無理か


自宅マンションの駐車場に車を停めてエントランスに向かうと、そのエントランスには人影があった

特に何も気にせず通り抜けようとするとその人影は後ろから「流星さん!」と声を掛けてくる


振り返るとそこにいたのはストーカー気質の客

ではなく、同じ店で働いている流だった


「流くん……」
「あの……夜分にすみませんっ……え、と……」


はぁ
今日は仕事のこと考えなくて済むと思ったのによ
最後にこれかよ?

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