
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
屋内施設とは言ってもバスケやるような場所は結構天井も高く広々としていた
ド平日真昼間とあってか人もまばらで、やりたい放題
「千秋さん待って。最初は柔軟しないと。怪我したら大変……」
入ってすぐにボールに触ろうとする千秋を悠史が止めて、三人で身体を伸ばす
軽く準備運動がてらボールにも触り、シュート
リングに触らずネットの軽い音だけを響かせたボールが地面につくと千秋が小さく拍手を送ってくれた
その次に千秋がボールをドリブルさせると
上手い、な
千秋も準備運動だと思ってやっているんだろうスピードはそこまで早くないものの明らかに手慣れている
ボールは友達って感じ?
軽くジャンプして打たれたシュートはバスケの経験者特有の空中で一瞬静止したような綺麗なフォームで、ボールも当然綺麗にリングに収まった
「上手ですね、千秋さん」
「あぁ。ほんと、上手いな」
俺たちも軽く拍手すると千秋は照れ臭そうに俯く
それから一対一でゲームをしたり、ある程度動いたら別のところに移動して他のスポーツをやったり
結局予約もしてなかった昼飯は中のフードコートで食べて、そこを出たのは外も暗くなってからだった
