
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
上を脱いだ千秋を横目でチラ見する
ほっせぇし、白い
こんなんで本当にスポーツ好きなのか?
明らかもやしだろ
俺が乱暴に上を脱ぐと、千秋もなぜかこっちを見た
「ん?」
なんでもない、と首を横に振る千秋に俺はクエスチョンマークを浮かべる
「ふふ」
それを見て悠史が横で笑った
「なんだよ?」
「ううん?別に」
そう言いながら悠史の身体を見ると、優男風な顔とは似合わずにしっかり筋肉が付いている
んん?
いつの間に
俺ももうちょい鍛えよ
「着替え終わったか?どこから行く?」
ビルのような建物内では階ごとにできる種目が異なるため、俺たちは案内用掲示板の前でどこから回るか悩んでいた
最初に千秋がこれ、と指差したのは
「バスケ?」
「好きなんですか?」
流石に携帯持ち歩くのは危ねえから、と俺が昔使ってたデータと通信機能のない携帯を持たされていた千秋はそこに
『昔ミニバスやってたんです』
と打った
「へぇ、意外」
「僕達は体育でやっていた程度なんですが……」
「まぁ大丈夫だろ。運動神経にそこまで不安はねぇよ」
「そうですね」
バスケに行くか、と言うと千秋は嬉しそうに微笑んだ
