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言葉で聞かせて

第7章 過去

「許さないよ……」


僕が睨みながらじり、と菜摘達の方へ体を乗り出すと男達は顔を引きつらせた


「おい、こいつやべぇぞ」


誰より恐怖に顔を歪めているのは先ほど僕に腕を噛まれた男


「俺……おりるわ……」
「おい、お前裏切んのか」
「俺の腕見てまだそんなこと言ってられんのかよ?」


そう言った男の腕には僕の歯型がくっきりとついている


「悪いけど、むり……っ」


僕が男を睨みつけると怯えた男は走り去ってしまった

団体で行動するような人達は1人が抜けてしまうとその団結力は簡単に崩れてしまう


「おい待てよ!」


男達が皆去っていこうとすると、そのうちの1人の腕を菜摘が掴んだ


「ちょっと!お金は払ったでしょ!?」


男は思い切り腕を振り払った


「うっせぇな!!ここまでちゃんとしてやったろ!!」
「はぁ?」
「それにあれっぽっちであんなイカれた野郎の相手なんかやってらんねぇよ!!」


「待って!」と言いかけた菜摘を置いて男は他の人と同じように走って行ってしまった


「なんでよぉ……」


と菜摘はへたり込んでしまう

どうにか縄が解けたのか敦史が立ち上がり菜摘に近づく

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