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言葉で聞かせて

第7章 過去

そして


「っあぁ!!」


もう少しで出るかというところで男に手を引かれてしまった


「おい、大丈夫かよ?」
「こいつ……本気で俺の腕噛みちぎろうとしてたぞ……!?」


腕を抑えながら男が1歩後ろへ引いてしまった


「ーと……ーーーーーたのに……」
「あ?」


僕の呟いた言葉を男が聞き返す


「あと少しで、お前の血が飲めたのに……」


僕が男を見ると、男の顔は恐怖で引きつっていた


「こいつ、まじ、やべぇって……」
「目ぇイってんぞ!?」


僕の周りにいた3人の男は共に僕から少しずつ距離を取った

僕はその間に靴を蹴るように脱いで縄から足を引き抜いた


四肢が自由になった僕はすぐ様千秋さんの元へ這うように駆けつける


「ちょっと!あんた達ちゃんと悠史を抑えときなさいよ!!」


僕の目は相当やばいのか、千秋さんのすぐそばに立っていたはずの元恋人さえ少し僕から距離を取っていた


「千秋さん……千秋さん…………」


千秋さんの上半身を抱えながら声をかけるけど、千秋さんは目を開かずぐったりとしているだけ


僕は再び男と、そして菜摘に目線を移した


「……許さない……」

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