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言葉で聞かせて

第7章 過去

「うるさいわよ?敦史ってば今の状況がわかってないのね?」


菜摘は再び千秋さんの元に戻る


「あなた達が私のモノになるって言わないならーー」


菜摘は脚を後ろに振り上げた


「やめっーー! !」


ドッ、という鈍い音と共に菜摘の脚は千秋さんの脇腹に直撃した


「!!」


千秋さんは咳をしながら床に倒れる


「ほらっ!あなた達のっ!決断がっ!遅いからっ!こいつがっ!こんな目にっ!合うのっ!」


ドッ、ドッ、と何度も何度も菜摘は力一杯千秋さんを蹴り続ける

女性の力でも思い切り蹴られたら痛いし、それに千秋さんの身体には今日だけのものではなくそれまで受けてきたたくさんの暴行の傷跡がまだ生々しく残っている

それはもう痛いなんてものでは済まないだろう

僕と敦史の後ろにいた男達がそれを見て「うわぁ……エグ……」と呟いている


「俺たちも結構やったけどよぉ……ありゃ痛いぜ」
「あいつ結構やんなぁ」
「俺じゃなくてマジ良かった」
「お嬢様って怖えなぁ……」


床にぐったりと横たわった千秋さんはもう蹴られても大きな反応を示さなくなった


やめて

やめろ

やめろ


恨みがあるなら僕だろ

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