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言葉で聞かせて

第7章 過去

ーー手、解けそうか?

ーー僕の方は頑張ればいけると思う

ーーそうか。悪いけど俺は無理っぽい。けど脚は靴が脱げればいけそうだ

ーーどうする?


「おい兄ちゃん暴れんなよー」
「お前自分が思ってるほど軽くねえぞ〜?」


敦史が男達に再び取り押さえられて起き上がらされようとしている


早く決めなくちゃ
考えろ

どうすればこの状況を打開できる?


「……くそ……」


考えている間に時は過ぎて敦史は起こされ、目も合わなくなってしまった


こういう時にアニメや漫画の主人公みたいに土壇場で出せる力があればいいけど、当然普通の人間の僕にそんな力はない


どうしよう


考えている時間すら長くは与えられない

菜摘は僕達のところに近寄ってきた


「ね?ほら、あいつもあなた達とは離れて生活したいって」
「……だからっててめぇのモノになるのとは違うだろうがよ」
「え?なんで?他の女のところになんて行けるわけないじゃない。こんな男にも本来なら負けるわけないのよ。私はこんなに可愛くてお金も人望もあるんだから」
「はっ……女の価値はそれだけかよ」


敦史の吐き捨てるような言葉に菜摘は顔を真っ赤にした

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