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言葉で聞かせて

第7章 過去


「千秋さん……!!」


千秋さんは僕達と同じように両手を後ろで縛られてはいるけど、脚だけは歩かせるためか縛られていない


そんなことより


「おい。誰だ……あれやったの……」


僕の隣で敦史が唸るように言う

千秋さんの顔には大きな痣がついていて、さらに口の端からは血が流れていた


イライラする
頭が熱い


「俺らだけど?何か文句あんのか?おい」


敦史の後ろにいた男が楽しそうに敦史を揺らしながら答えた


「ねぇ?敦史、悠史。私もね、関係のない人をここまで巻き込むのは心が痛いのよ?だからーー」


菜摘は千秋さんに近づくと千秋さんの髪の毛をぐっ、と掴んだ


「……っ!!」
「こいつとさよならしてくれるよね?」


結構強く掴まれているのか千秋さんの顔が歪んでいる


「おい、やめろ」


敦史が身を捩った

手を引き抜こうとしているのか腕を動かしている
でも抜ける気配はないようだ

抵抗しようとしたことで敦史の周りにいた男達が少し警戒している

僕は周りにバレないように手を動かしてみた


あれ……?
意外と緩い?


硬い縄で縛ってあるせいか擦れると痛いけど、思い切り引けば抜けそうな気がする

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