
言葉で聞かせて
第7章 過去
しかし次の瞬間には千秋さんの笑顔は消えていて、僕を睨むように見つめていた
「?」
そしてゆっくりと口を開き、その綺麗な顔に見合った澄んだ声で僕に話しかけた
「貴方のせいだ」
え?
「貴方のせいだ」
僕のせい、って
どうして?
何が?
千秋さんは両目から大粒の涙を流しながら僕を睨みつけている
「貴方のせいで、僕は……!!」
泣かないでください
僕が何かしてしまったのなら謝ります
椅子から下りて頭を下げるべきだ
出来ることなら抱き締めて、頭を撫でてあげたい
でも腕や脚どころかさっきまで動いていたはずの首も全く動かなくなっていて、僕はただ目の前の千秋さんに責められ続けることしか出来ない
「貴方のせいです。貴方のせいで……貴方が…………
気がついてくれないから……!!」
気がつくーー?
何に?
「僕が…………ーー」
僕の疑問に千秋さんが答える直前に僕は頭に衝撃を受けて目の前が再び真っ暗になった
そしてさっき動かなかったはずの手の手首から先が動くようになった
脚も、膝が曲げられるようになった
そして僅かに耳も感覚が戻ってきた
