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言葉で聞かせて

第7章 過去

もう少しでエントランス、と言うところで僕達の真後ろに突然車が止まった

真っ黒で、大きなワゴン車


「なーー」


なんだ?と敦史が言葉にするより早くワゴン車の中から出てきた人達が僕達の元に来た

そして口元にハンカチを当てられ て


僕の意識はそこで途切れた



千秋さん

千秋さんを、守らないと



夢の中で僕は暗い闇の中にいた
背もたれのついた椅子に腰掛けている


ここはどこ?


辺りを見回してみるけれど、何も見当たらない


なんだろう?
どうして僕はこんなところにいるんだ?


きょろきょろと辺りを見回して、前に視線を戻すと


「!!」


目の前に千秋さんが立っていた
「千秋さんまでどうしてここに?」と声をかけようとしたんだけど


声が

出ない?


何度か試してみたけど、喉が震えている感覚はあるのに何故か空気を震わすことはない

どうしてだろう、と千秋さんを見上げる


すると千秋さんは


笑ってる?


最近は色んなことがあって見ることができなかった穏やかな笑顔を浮かべている


どうして笑っているんだろう


僕は困惑しながらも、とりあえず笑いかけてみる

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