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言葉で聞かせて

第7章 過去

朝食をゆっくり食べて、3人で片付けをして
2人分のコーヒーとココアを1杯淹れてソファに座った

昼前の柔らかい日差しを浴びながらコーヒーを飲む

暫く3人の間を沈黙が流れたけれど、痺れを切らした敦史が遠慮がちに沈黙を破った


「なぁ……千秋……菜摘に何で脅されてたんだ?」


敦史の質問に、千秋さんは机の上のペンに手を伸ばした

静かな室内に千秋さんの書く音だけが響いている


そして見せられた紙には


『敦史さんと悠史さんの仕事が出来ないようにしてやる、と言われました』


と書かれていた


僕達からすれば、あり得ないことだってわかる

いかに大きな企業の社長令嬢と言えど、僕達の仕事を奪うなんてこと出来るはずない

そんな力が菜摘にないっていうのもあるけど、僕達の店のオーナーは少し危ない人達との関わりがある

あの人がいる限りそこまで勝手なことはされないだろう


例え出来たとしても、僕達は別にあの店でしか働けないわけじゃない

まして、千秋さんに守られてまで僕達も働きたくない


それは敦史も同じだったみたいで鼻を鳴らした


「人に無理させてまで働くような仕事じゃねえよ」
「そうですね」
「それに、俺たちの店はあのオーナーがいる限りは大丈夫だろうしな」

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