テキストサイズ

言葉で聞かせて

第7章 過去


次の日の朝、朝食を作っていた千秋さんに「おはようございます」と声をかけると、振り返った千秋さんは困惑した顔をしていた

何か聞きたそうだけど、何と言葉にしていいかわからないみたい


菜摘からの連絡か何かが途絶えたのかな?
呼び出しがこなくなったとか


聞きたいことはわかる

『貴方が何かしたんですか』


でも聞きづらいだろう
なぜなら千秋さんはおそらく僕達のために何かで脅されていて、それを悟られないために頑張ってきたのだから


僕は千秋さんに笑いかけて


「ちょっと失礼しますね」


と言ってから携帯電話を取り出した
電話をかけたのは僕達の仕事先であるホストクラブ『ange』


「もしもし悠史ですーーはい、お願いしますーーーーおはようございます。ーー申し訳ないのですが、本日は敦史と僕はお休みさせて頂いてもよろしいでしょうか?ーーえぇ、はいーーありがとうございます。失礼します」


通話を切ると僕の話した内容から仕事を休みにしたとわかったのか、「なぜ?」という顔で僕を見上げている


「今日は、ゆっくり少しお話でもしましょうか」


僕がそう千秋さんに笑いかけたところでちょうど敦史がリビングに入ってきた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ