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言葉で聞かせて

第7章 過去

これで、大丈夫


僕はさらにパソコンを操作して株の売買を行う画面を開く

僕の手元には購入された菜摘の会社の大量の株がある

しかも1人の人間が大量購入していることがバレないように幾つにも分けて


もったいないけど


僕は最近上場気味だった株を全て売りに出した


途端に株価を示していた折れ線グラフがカクン、と落ちる

これは今僕が売りに出した分
でもそれ以降も株価の値下がりは止まらない

食中毒の噂が立っている会社の株価が落ちたのを見れば、もしかしたら食中毒が公になって株価が下がったのかもしれない早く売りに出さないと損をする、とパソコンをずっと見張っていた人達は皆手持ちの株を売り払うだろうから


さらに情報を持っているわけでもない小遣い稼ぎで株をしていた人達も突然株価が下がったら焦って売らざるを得ない


よし


ただ、この一瞬折れ線グラフを下げるだけにどれだけのお金をつぎ込んだかわからない

もともと敦史のように金遣いの荒い性格ではないからそこそこの金額お金がたまってはいたんだけど、これでほとんど全部なくなった

でも惜しくはない、かな

千秋さんがこれで助かるならいい


大きな会社の社長令嬢というバックアップに支えられてきた菜摘も、これでおしまい


結構あっけなかったな

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