
言葉で聞かせて
第7章 過去
「ご馳走様でした」
僕は別にお酒を飲んだ訳ではなかったけど、とりあえずお礼を言った
「聖夜、お大事にね」
2人のうちの1人か立ち上がった僕を見上げて本当に心配そうな顔をする
良い人だな
「ありがとうございます。次にご来店される時には万全の状態で接客出来るように早く治しますね」
僕はお辞儀をしてその場を去った
デマを流した人数、だいぶ増えて来たかな
次に僕達が連れて行かれたのは
「ご指名ありがとうございます。聖夜です」
「流星だ」
「お久しぶりですね、菜摘さん」
僕らがお客様になんとも失礼なことをしなければならなくなった原因のいる席だった
「久しぶり。今日は2人とも一気に指名しちゃった」
菜摘は千秋さんが自分のところに来なかったことなど大したことではないように堂々と振舞っている
当たり前だよね
バレるわけにはいかないんだから
大方今回は僕達が菜摘に対して警戒心を持っていないかとかを確かめに来たんだろう
「そうですね。前回は僕達を別々でのご指名だったので」
「まぁ、そういう時もあんだろ。私だけの流星でいて、って、なぁ?」
僕達が少し茶化すのを菜摘は品定めでもするかのようにじっと見つめている
