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言葉で聞かせて

第7章 過去

「ご指名ありがとうございます、聖夜です」
「流星です」


挨拶を済ませるとよく来て下さるお客様が「こっちに座って」と手招きをした


「一昨日ぶり、聖夜」
「いつもありがとうございます」


茶髪のふわふわしたロングヘアを緩くまとめたその女性は日本でも屈指の家の生まれの方

さらに敦史がお相手をしているのは同じく有名な会社の社長令嬢

彼女達に力はないけど、彼女達の両親には大きな力がある

だから本当はいけない事なんだけど、その力利用させてね
その代わりと言ってはなんだけど精一杯接客するから


「聖夜、何飲むの?」
「お水でいいですよ」
「だーめ。私達に貢がせて」


僕は出来る限り美しく、そして儚く微笑んだ


「お気持ちは嬉しいんですが、お腹を壊してしまったみたいなのでお酒は遠慮させて頂いてるんです」


僕の笑顔に見惚れていた彼女は「お腹を壊す」という単語に見事に引っかかってくれた


「え!?大丈夫?どうしたの?」


よし


「この前食事に伺ったお店で食あたりしてしまったらしくて……でも大分治ってきたので大丈夫です」


少し眉を寄せて、辛さを見せないように
痛みに耐えてるように
微笑む

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