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言葉で聞かせて

第7章 過去


僕の言葉の後、敦史はぶる、と身震いした


「悠史って……そういうとこ怖いよな」
「ん?何が?」
「いや……」


とりあえず、これ以上千秋さんに何かさせるわけにはいかないから明日は田中さんを呼んで千秋さんをここに閉じ込めておこう

この前菜摘が来店したのは千秋さんがいなくなって僕達がどれくらい影響を受けたのか見に来たんだ

だから今度も暫くしたら僕達の元を訪れるはず

脅しの材料が何かはわからないけど、目的は僕達と千秋さんを引き離すことだろうからすぐにどうこうってことはないと思う


憶測の部分が多いけど、助けると言ったからには多少賭けに出るしかない



僕はとりあえずパソコンを立ち上げて菜摘の会社の経営状況を調べ始めた


「それ、何やってんだ?」


パソコン音痴な敦史が僕の隣から物珍しそうに画面を覗き込んでいる


「ん?僕の貯めたお金の無駄遣い」
「は?」


僕のこれまでの意味のない貯金が役に立ったなぁ


なんて呑気なことを考えながら着々とパソコンを操作する

全ての準備を完了させて、僕は敦史に向き直った


「ねぇ敦史」
「何だ?」
「これから言うことをよく聞いてねーー」

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