
言葉で聞かせて
第7章 過去
「え!?どうして言ってくれなかったの!?」
「あーー……いや…………悪い」
変な人がうろついてる、って
僕が黙り込んで考え始めたのが怒っているように見えたのか敦史が言い訳をするように言い募る
「でもよ……ホストなんて勘違い女共が彼女面して家に上がり込むようなもんだぞ?気にしてたら身体もたねぇだろ」
確かにそうだ
それに、過ぎたことを言っていてもしょうがない
「それなら、じゃあやっぱり……」
主犯は菜摘、か
最近おかしな行動があった点と、僕と付き合っている時の様子からして再会したことで火がついたってところかな
どうすればいい
僕が策を考えていると敦史が拳を掌に叩きつけた
「犯人はわかったんだろ?なら、そいつブン殴りゃあいい」
喧嘩っぱやい敦史らしい明快な答えだけど、相手がどんなに許せない事をしてもその仕返しとして暴力に訴えるなんてことしたくない
「敦史。殴るのはダメだよ」
「何でだよ?千秋がこんな目に合ってるんだぞ。黙ってられるか」
「気持ちはわかるよ。でも……」
「でも、なんだよ?」
暴力なんてしない
しないから
「絶対許さない。暴力を奮わないかわりに社会的に抹殺する」
