
言葉で聞かせて
第7章 過去
「!!!!」
驚いて固まってしまった僕と反対に千秋さんは慌ててシャンプーを手に取り、浴室の扉を閉めた
それでも僕の頭は固まったままで
何だ、あれ…………?
お腹と胸は内出血で青黒く染まっていて
手首と足首だけじゃなくて、太腿や胴体にまで全身這うように付けられた紐のような跡
僕の手足が震えて、口から出た声も驚くほど震えていた
「誰かから、暴行を受けている……?」
そして、浴室からは僅かにしゃくりあげるような音が聞こえてきた
なに?
泣いてる……?
僕は震える手で浴室の扉に手をつけた
膝から力が抜けて、座り込んでしまったけど離さなかったその手に少し力を加える
開け
開けて
「開けて下さい」
何とも思わなかったのに
敦史の激しい性行為で傷がついた女性を見ても
なのに
千秋さんは
千秋さんだけは
やっぱりダメだ
迷惑でもいいから
助けになりたい
例え僕が拒絶されても
真綿にくるむほど、大切にしてあげたい
今だってきっと泣いて震えてる千秋さんを抱き締めたい
大丈夫だって言ってあげたいよ
僕の両目からいつ振りかわからないほど久しぶりに、涙が流れた
まるでこの時を待っていたように
ダムが決壊したみたいに
たくさん
