
秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
…まさか、妊娠とか…?
いや、ちゃんと避妊はしてるし、この前、生理がきたばっかだしそれはないか…
【紫織ちゃんの心と体に何か変化があるかもいれない】
…もしかして、心因的ストレス…?
それで吐いたのか…?
「…ちょっと口の中、すすいでくるっ…」
紫織はそう言うと、洗面所に向かっていった。
「…………」
俺はしばらくの間、頭の中が真っ白になって何も考えられないでいた。
「うっ…ひっく…ひっく…」
……!!!!
洗面所の方から突然、紫織の泣き声が聞こえてきて、俺が急いで紫織に駆け寄ると、紫織は体を震わせて洗面台の前にしゃがみ込んでいた。
「…紫織」
俺は紫織の体をきつく抱きしめる。
「お前、やっぱり今日も学校休め…」
紫織はフルフルと頭を横に振る。
「行く…」
「駄目だ、休め…」
「ううん、行くっ…
家に一人でいるの嫌っ…
ひとりは嫌……」
そう言って、紫織は俺の体にすがりつくように抱きついてくる。
「……っ」
…そうだ…紫織は誰よりも寂しがりやだった……
家に一人で置いておくのは、逆効果なのかもしれない…
「……分かった。じゃあ、今日は俺と一緒に登校しよう…」
「いいの…?」
紫織が涙で濡れた瞳で俺の顔を見上げる。
「ああ…
お昼も一緒に食べよう…
昼休みになったら俺の教室に来い。
沢村も一緒に連れてきてもいいから…」
「…うん」
「あと、帰りも一緒に帰ろう…
帰りは俺がお前のクラスに迎えにいく」
「うん…」
