秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
―夜―
いつものように紫織と一緒にごはんを食べて、テレビを見て、風呂に入り、最後に歯を磨いて、俺は自分の部屋に戻った。
ベットの上に寝転がり、紫織のことを考える。
…今日も特に、これといって紫織に何も変化はなかったな……
少し心配しすぎか…?
トントン
「お兄ちゃん、部屋に入ってもいい?」
「…ああ」
俺の部屋のドアを開けると、風呂から出た紫織が少し沈んだ顔で俺の部屋に入ってきた。
「あのね、何だか一人じゃ怖くて眠れないの…
お兄ちゃんと一緒に寝ちゃ駄目?」
「…………」
一緒に寝るって…
そんなのまさに、腹が減ってる狼の前に、弱った子羊が差し出された状態になるじゃねえか……
今の俺には、けっこうな生き地獄だな…
「…やっぱり駄目?」
今にも泣き出しそうな顔をして、不安そうに俺に聞いてくる紫織。
「…いいよ…こっちに来い…」
「うん…」
紫織を俺のベットに寝かせて、枕元の間接照明だけをつけたまま、部屋の灯りを消す。
俺もベットに入り横になると、紫織は俺の体にしがみついてきた。
「…………」
俺が何も言わずに黙っていると、紫織は何か言いたげな表情で俺の顔を見つめてくる。
「…どうした?」
「…ううん、何でもない…
私、明日は学校行くね…」
「大丈夫なのか?」
「…うん、いつまでも休むわけにはいかないから…」
「……そうか、じゃあもう寝よう…」
「…うん、お兄ちゃん、おやすみなさい」
「おやすみ、紫織…」
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