
秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
「…でも、美加さんたちにとって、どんなに酷い人間でも、私にとってはすごく大切な人なんです。」
「世界中の人たちが、お兄ちゃんのことを指をさして酷い人間だと罵ったとしても、せめて妹の私だけはお兄ちゃんの味方でいたい……ひっく…ひっく…」
「…………」
「お兄ちゃん、悪い人じゃないんです。ただ、すごく不器用なだけ…
お兄ちゃんのこと、許してくれとは言いません。
だけど、責めないであげてください……
お兄ちゃんがみんなに責められているのは、見ていて辛いです…
責めるなら、お兄ちゃんの代わりに私のことを責めてください。
私がいくらでも、お兄ちゃんの代わりに罪を償いますからっ…」
「…………」
「美加さん、皆さん、本当にすみませんでした…」
紫織ちゃんは、泣きながら私の手を取ると、私の手の中に薬を握らせた。
「…………」
「…紫織、帰り支度して、しばらく俺のクラスの教室で待ってろ…。俺は美加たちと話したあと、保健室に行ってくる。
沢村、悪いけど紫織に付き添ってやってくれないか?」
「…はい」
紫織ちゃんは、女子たち全員に頭を下げると、沢村さんに連れられて、その場を去っていった。
悠人と風磨と私たちが、その場に残る。
悠人は私たち一人一人の顔を見ると、重い口を開いた。
「美加…その…」
「謝らなくていいわよ…
やっぱり、あんたが謝る姿なんて見たくない。
紫織ちゃんが、さっき私たちに何度も謝ってくれたからそれでいい…」
「…………」
「悠人…紫織ちゃんって本当にいい子ね……
あんたの妹とは、とても思えない……」
「…………」
