
秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
「悠人の馬鹿!!!本当にむかつく!!!
私たちのことをさんざんもてあそんでおいて、自分の妹がもてあそばれるのは嫌だなんて、どれだけ我が儘なのよ!!!
今回のこと、私は絶対に謝らないわよ!!!
全部、悠人のせいなんだから!!!!」
「…………」
「私たちがどれだけ傷ついてたか、あんたはきっとこんなことになった今でも分かってないでしょう!!?
あんたのその腐った性格は、きっと一生治らないわよ!!!」
「…………」
「…美加さん……」
私が悠人を睨み付けていると、紫織ちゃんが一歩前に出てきて、私に塗り薬を渡す。
「…首の痣、痛いでしょう?これ、保健室の先生から貰ってきました。
あとででもいいので、ちゃんと薬、塗っておいてください。」
「…………」
私が黙ると、紫織ちゃんは、私とそこにいる女子全員に深々と頭を下げた。
「兄が皆さんを傷つけて、本当に申し訳ありませんでした。
兄に代わって私が謝ります。
本当にごめんなさい…」
「…………」
紫織ちゃんの謝罪に、そこにいる全員が黙る。
紫織ちゃんは頭を上げると、私の首の痣を見つめて口を開く。
「…外にできた傷なら、見た目とかで、どれくらい痛いか少しは想像ができますけど、心の傷は外の傷みたいに目には見えないから、相手の人がどれだけ傷ついているか、どんなに痛い思いをしているのか分かってあげられない…」
「…………」
「きっと、お兄ちゃんは美加さんたちの心をすごく傷つけたんだと思います。
今回のことは、どう考えても私の兄に責任があります。
美加さんたちは悪くない…」
「…………」
紫織ちゃんはそう言うと、目からボロボロと涙を流す。
