
秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
私は、自分の手の拳をぎゅっと握りしめた。
「私にはできない…
あんたみたいな最低な人間のために、自分のことを傷つけようとした相手に頭を下げるなんて…
私にはできない……」
「…………」
「あんたのことを想って、泣きながらあんたを庇うなんて真似もできない…」
「悠人があの子を大切にする理由が分かった気がするわ…」
私は紫織ちゃんから貰った塗り薬を見つめて微笑む。
「…この薬、体の傷だけじゃなくて、心の傷にも効きそうね…」
私は悠人の目を真っ直ぐ見つめて言う。
「でも、悠人、よく覚えておいて。
所詮、あの子はあんたの妹…
どんなに大事にしていても、いつかは他の男に奪われて、その男のことを愛して、あんたのことよりもその男の味方をするようになる。」
「…………」
「あの子に愛される男はきっと幸せでしょうね…本当に心の底から愛してもらえる…」
「そう思うと、あんたが可哀想に思えてしかたないわ。
馬鹿でどうしようもないあんたを唯一、理解してくれる子にあんたは捨てられるんだもの…
そして、この先、あの子以上にあんたを想ってくれる子はきっと現れない…」
「…………」
「可哀想な悠人…
でも、仕方ないわよね。
今まで自分がしてきたツケが回ってきたんだから…」
「…………」
「別れが来るその時までは、あの子のこと大事に守ってあげなさいよ。
じゃあ、さよなら…悠人……」
私はそう言うと、他の女子たちを引き連れてその場をあとにした。
