
秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
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「ゴホゴホゴホッ…!!!」
私の気道に空気がやっと入ってきて、朦朧としていた意識がはっきりとする。
「うわっ!!!」
ボコッ!!!ドカッ!!!
「ゆ、悠人!やめてくれ!!!うっ!!!」
ボコッ!!!ボコッ!!!ドサッ!!!
しばらくアキラたちの悲鳴が聞こえてきたと思うと、急に体育倉庫の中が静まりかえる。
「美加…中見て……」
由衣に促されて体育倉庫の中を覗き込むと、殴られてボコボコにされたアキラたち3人の体が散り散りに転がっていた。
「ひっく…ひっく…お兄ちゃんっ…っ」
「…紫織、もう大丈夫だ……怪我はしてないか…?」
「うんっ…」
悠人は紫織ちゃんの体をきつく…でも、まるで壊れものでも扱うように、優しい手つきで抱きしめていた。
「…………」
悠人は一度、紫織ちゃんを自分の体から離すと、紫織ちゃんの頬を優しく撫でながら、泣いている紫織ちゃんの顔を見つめる。
「本当に無事でよかった……
心臓止まるかと思った……」
話し方が優しい……
紫織ちゃんを見つめる瞳も、紫織ちゃんに触れる手も…
信じられないくらい優しい……
「…………」
悠人は目を閉じると、自分の腕の中に紫織ちゃんを閉じ込めるように、再び紫織ちゃんの体を優しく抱きしめた。
悠人と紫織ちゃんの間に入り込もうとする子は、ひとりもいなかった。
そこにいる全員が、ただ呆然と立ち尽くして、抱きしめ合っている2人の姿を見つめていた。
