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秘密の兄妹

第15章 美加の復讐




*****

「ゴホゴホゴホッ…!!!」



私の気道に空気がやっと入ってきて、朦朧としていた意識がはっきりとする。



「うわっ!!!」



ボコッ!!!ドカッ!!!



「ゆ、悠人!やめてくれ!!!うっ!!!」



ボコッ!!!ボコッ!!!ドサッ!!!



しばらくアキラたちの悲鳴が聞こえてきたと思うと、急に体育倉庫の中が静まりかえる。



「美加…中見て……」



由衣に促されて体育倉庫の中を覗き込むと、殴られてボコボコにされたアキラたち3人の体が散り散りに転がっていた。



「ひっく…ひっく…お兄ちゃんっ…っ」



「…紫織、もう大丈夫だ……怪我はしてないか…?」



「うんっ…」



悠人は紫織ちゃんの体をきつく…でも、まるで壊れものでも扱うように、優しい手つきで抱きしめていた。



「…………」



悠人は一度、紫織ちゃんを自分の体から離すと、紫織ちゃんの頬を優しく撫でながら、泣いている紫織ちゃんの顔を見つめる。



「本当に無事でよかった……

心臓止まるかと思った……」



話し方が優しい……



紫織ちゃんを見つめる瞳も、紫織ちゃんに触れる手も…



信じられないくらい優しい……



「…………」



悠人は目を閉じると、自分の腕の中に紫織ちゃんを閉じ込めるように、再び紫織ちゃんの体を優しく抱きしめた。



悠人と紫織ちゃんの間に入り込もうとする子は、ひとりもいなかった。



そこにいる全員が、ただ呆然と立ち尽くして、抱きしめ合っている2人の姿を見つめていた。






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