
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「もう…いい?」
のぞみが返事をするまえに、意思とは別に手がフライングして、ぱちん、とブラジャーのホックを外した。
ああ。のぞみに、溺れていく…。こんなだったっけ、僕らっ…て…
「ねえ、流星…」
「ん…?」
僕は、湿度の高い、熱い息を含んだのぞみの声に興奮した。
「どうした…?」
「…今日…したかった」
そんな言葉が、さらに僕を欲情させる。のぞみは照れ隠しに、体を起こして自分からキスをした。
素早くシャツを脱ぐと、もうのぞみと僕を隔てるものは何もなかった。体勢は逆転し、僕は背中にフローリングの冷たさを感じた。
ほんのり赤い唇や、白い首筋、細い肩、やわらかくてすべらかな胸が僕をこんな気持ちにさせる。のぞみだけが僕をこんな気持ちにさせる。日常の出来事全てが、意識の遠くに追いやられていく。
のぞみはいま、自分がされていたのと同じことを僕にしようとしている。
ぞくぞくする。
生暖かい舌が這うと、何でもない場所が途端に震える。
のぞみが、僕自身を口に含むと、狂いそうになる。止まらない欲求が押し寄せる波になって、僕を飲み込む。
ああ…いつから、僕らは…
疲れているのに頭の中はクリアで、僕はのぞみの胎内を感じていた。
それは、未来の記憶かもしれないと、冷静に思っていた。
