テキストサイズ

20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

久しぶりに大学以外でのぞみに会えた土曜日。
京都の夏は本当に暑い。暑い暑いと言いながら
コンビニで買ったアイスを食べるのぞみの、
素足がさっきから気になる。
…だって、足の爪に赤いマニキュア?が
塗られている。

「流星もアイス買えば良かったのに」
「暑いと思うから暑いんだよ」
「暑いもんは暑いよ」

のぞみは学生向けのワンルームマンションに
住んでいる。僕の下宿とは、大学をはさんで
一駅離れている。

「久しぶりなのに、こんなので良かったの?」
「こんなのって?」

関西ウォーカーをめくる僕のとなりに、
アイスを食べ終わったのぞみが近付いてきた。

「おうちデート、すきだよ?」
「うん、おれも」

やっばー。このシチュエーション素敵すぎる。
雑誌をばさっ、と床にほうりなげた。

「だって、こんなことも、できるし…」
「んっ…」

のぞみのつめたい唇は、甘い甘いバニラの味が
した。それを全部なめとるように僕はのぞみに
キスをする。
そっと、肩を押すとのぞみは簡単に床に
倒れた。僕はさっき買った桃の味がする水を
ひとくち、口に含んで、再びキスをした。
驚いたのぞみの口からだらしなく水が
こぼれた。首筋まで流れたそれを、今度は僕が
唇で受け止める。

「あ…っ…」

汗と混じった甘い水が、すごく、すごく
なんというか…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ