
20年 あなたと歩いた時間
第2章 16歳
流星は視線を外に向けたまま、
私の名前を呼んだ。
昔に比べてずいぶん低くなった
流星の声。
私はアイスクリームのカップを
持ったまま、顔をあげた。
「おれのことどう思う?」
「え?どうって?うーん…」
「やっぱりいいや。早く食えよ。行こう」
「あ、うん」
流星は残りのコーラを飲み干して、
参考書のたくさん入ったバッグを
つかんだ。
どう思う、って。
流星は流星だよ。
勉強もスポーツもできて、
いつも冷静で頼りになって、
小さい頃から私の憧れだよ。
一緒にいると怖いものなんてない。
流星といると、何でもできる気が
するんだ。
真緒や要も同じくらい好きだけど、
流星は…。
流星は、私にとって…。
私にとって、何だろう…。
少し先を行く流星の背中を見ながら
思う。
「待って」
そう言って私は思わず足を止める。
店の外で空を見上げる流星の横顔が、
いつの間にか私の知らない流星に
なっていた。
「雨降りそうだな」
振り返った流星は、
いつもの流星で私の大好きな
流星だった。そうだ。
大好きな私の流星。
「流星!」
「ん?」
「お弁当、今日はしょうが焼きだよ」
「やった。のぞみのしょうが焼きうまいんだよな」
私は、流星に塾で食べるお弁当を
手渡す。その笑顔が見たくて、
私は一生懸命お弁当を作る。
頑張って勉強する流星に
私ができることを、今したい。
流星がいつも笑顔でいられるように。
「じゃあな。気をつけて帰れよ。弁当サンキュー」
流星。
時々流れる、
私の入り込めない流星の時間が、
少しずつ流星を大人にしていく
気がするの。
ひとりで大人にならないで。
立ち止まって、私のことも見て。
私はいつも、
流星を追いかけていくから。
「のぞみ」
流星が振り返り、私の名前を呼んだ。
「明日の花火大会、一緒に行こう」
「うん!じゃあ真緒と要にも電話しとくね」
「いや、そうじゃなくて」
「ん?」
「二人で行こう」
でも、私は知らなかったんだ。
流星が、どうして私よりも先に
大人になる必要があったのか。
私の名前を呼んだ。
昔に比べてずいぶん低くなった
流星の声。
私はアイスクリームのカップを
持ったまま、顔をあげた。
「おれのことどう思う?」
「え?どうって?うーん…」
「やっぱりいいや。早く食えよ。行こう」
「あ、うん」
流星は残りのコーラを飲み干して、
参考書のたくさん入ったバッグを
つかんだ。
どう思う、って。
流星は流星だよ。
勉強もスポーツもできて、
いつも冷静で頼りになって、
小さい頃から私の憧れだよ。
一緒にいると怖いものなんてない。
流星といると、何でもできる気が
するんだ。
真緒や要も同じくらい好きだけど、
流星は…。
流星は、私にとって…。
私にとって、何だろう…。
少し先を行く流星の背中を見ながら
思う。
「待って」
そう言って私は思わず足を止める。
店の外で空を見上げる流星の横顔が、
いつの間にか私の知らない流星に
なっていた。
「雨降りそうだな」
振り返った流星は、
いつもの流星で私の大好きな
流星だった。そうだ。
大好きな私の流星。
「流星!」
「ん?」
「お弁当、今日はしょうが焼きだよ」
「やった。のぞみのしょうが焼きうまいんだよな」
私は、流星に塾で食べるお弁当を
手渡す。その笑顔が見たくて、
私は一生懸命お弁当を作る。
頑張って勉強する流星に
私ができることを、今したい。
流星がいつも笑顔でいられるように。
「じゃあな。気をつけて帰れよ。弁当サンキュー」
流星。
時々流れる、
私の入り込めない流星の時間が、
少しずつ流星を大人にしていく
気がするの。
ひとりで大人にならないで。
立ち止まって、私のことも見て。
私はいつも、
流星を追いかけていくから。
「のぞみ」
流星が振り返り、私の名前を呼んだ。
「明日の花火大会、一緒に行こう」
「うん!じゃあ真緒と要にも電話しとくね」
「いや、そうじゃなくて」
「ん?」
「二人で行こう」
でも、私は知らなかったんだ。
流星が、どうして私よりも先に
大人になる必要があったのか。
