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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

「…ダメだな、もう」
「いや、流星。あきらめんな!おまえの方がイケメンだし、ほら、頭もいいし!背も高いし!」
「…のぞみはそんなんで男を選ぶようなやつじゃないよ…」

そうだ。そんな理由で選ばれた僕ではない、
と思いたい。

「ごめん、二人とも。続き、して」
「いや…続き、って…なあ」
「うん…」

このまま、どこに行けばいいのだろうと
思った。
本気で明日地球が終わればいいと思った。
いや、今すぐでもいい、と。
でも地球は滅びることもなく、日は沈みまた
昇り、確実に時間は流れて二学期の終業式が
やってきた。ダラダラと全校生徒が体育館に
集まり、絶えず誰かの咳が聞こえて、死ぬほど
寒かったそこはあっという間に人数分の
二酸化炭素で暖められていく。
地球温暖化みたいだ。
もう、沸騰するくらい気温が上昇して、地球
なんか、地球なんか。滅びてしまえ!

「小野塚…何か言った?」
「…言わん。いや、地球なんか滅びちまえって言った」
「同感。おれ東大C判定でさ。やっぱり今年は無理かな」

知るか。じゃあ来年頑張れよ。その前に地球は
滅びてるだろうけどな。
いつの間にか終業式は終わって、後ろと両側の
ドアから低気圧に吸い込まれるように生徒が
出ていった。僕もその中の一粒になる。
のぞみも、桐野もその中の一粒だった。

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