
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
『のーぞーみー!』
のぞみの部屋の下から呼んでみた。最近は
ちゃんとインターホンを鳴らしていたけれど、
昔はこうしてのぞみを呼んでいた。
何となく懐かしくなって、してみた。
『のーぞー…』
2回目に呼んだその時、ガラッと窓が開いた。
のぞみが僕を見下ろしていたけれど、すぐに
閉まった。
『え…』
すぐに降りてくるのだと思った。
僕は玄関の前で待っていた。ところが、開いた
ドアの向こうにいたのは桐野だった。
しかも、微妙に着衣の乱れ。
今思えば、なんて自己チューだったんだろう。
今ならわかるんだよ、今なら。
「ごめん、流星!」
「悪かった、流星!」
そのまま自転車をかっ飛ばして、要の部屋に
なだれ込むと真緒もいて、そして僕は二人に
いきなり謝られた。
「ていうか、おれらも知らなくてさ」
「私ものぞみになかなか会えてなくて」
結論から言うと、のぞみと桐野は別れて
いなくて、それを要と真緒も知ったのは最近
だった、という訳だ。
甘かった。桐野と100m競って、の件は僕が
思っていた結末とは違ったということだ。
「…これか、桐野の復讐って」
「どうりでのぞみが煮え切らなかった訳だ」
真緒が妙に納得したように言う。
「なん、真緒知ってたん?」
「いや、知らない。でものぞみは『別れる』とは言わなかったんだよね」
「…そうか。完全に思い込みかよ」
僕はもう、大学に受かる気がしなかった。明日
地球が滅亡してしまえばいいとさえ思った。
のぞみの部屋の下から呼んでみた。最近は
ちゃんとインターホンを鳴らしていたけれど、
昔はこうしてのぞみを呼んでいた。
何となく懐かしくなって、してみた。
『のーぞー…』
2回目に呼んだその時、ガラッと窓が開いた。
のぞみが僕を見下ろしていたけれど、すぐに
閉まった。
『え…』
すぐに降りてくるのだと思った。
僕は玄関の前で待っていた。ところが、開いた
ドアの向こうにいたのは桐野だった。
しかも、微妙に着衣の乱れ。
今思えば、なんて自己チューだったんだろう。
今ならわかるんだよ、今なら。
「ごめん、流星!」
「悪かった、流星!」
そのまま自転車をかっ飛ばして、要の部屋に
なだれ込むと真緒もいて、そして僕は二人に
いきなり謝られた。
「ていうか、おれらも知らなくてさ」
「私ものぞみになかなか会えてなくて」
結論から言うと、のぞみと桐野は別れて
いなくて、それを要と真緒も知ったのは最近
だった、という訳だ。
甘かった。桐野と100m競って、の件は僕が
思っていた結末とは違ったということだ。
「…これか、桐野の復讐って」
「どうりでのぞみが煮え切らなかった訳だ」
真緒が妙に納得したように言う。
「なん、真緒知ってたん?」
「いや、知らない。でものぞみは『別れる』とは言わなかったんだよね」
「…そうか。完全に思い込みかよ」
僕はもう、大学に受かる気がしなかった。明日
地球が滅亡してしまえばいいとさえ思った。
