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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

要は家にいた。真緒もいた。それだけで僕は
緊張した。

「ごめん。二人でいるときに。ちょっと話したくて」
「…おれも、流星と話さなきゃと思ってた。その…のぞみにバラしたこと」
「ごめん!本っ当ごめん。のぞみは、おれの彼女だったけど、要と真緒の大事な友達でもあるんだ。そののぞみを傷つけてごめん!」

そうなんだ。のぞみはこの二人にとっても、
同じくらい大切な友達だったんだ。

「ねえ流星」
「…はい」
「いちいち真剣すぎるんだよ。いっつも」
「…どういうこと?」
「紺野にも、野嶋にも、ぶつかってくるやつにマジになりすぎるって」
「あ…」
「だって、のぞみはぶつかってこないもんね。わざとだよ」
「え?」
「流星が、自分に真剣にならないように。あんたの頭のなか、自分でいっぱいにしたくないんだよ」

言われたことがある。

『 …もう、流星の邪魔しない 』

「のぞみは誰よりも流星のこと、わかってるんだよ」
「うん…」
「だからもう、のぞみ以外の人間に心血注がないで」
「うん」

要は、真緒と僕のやり取りをじっと聞いて
いた。

「損な性格!頭いいだけに色んなこと考えすぎんだよ。おれみたいにさ、もっと」
「いい!要みたいにはならなくていいからね。流星は流星」

ありがとう。僕の大切な友達。離れないで
いてくれて、ありがとう。

「のぞみに、ちゃんと話してきなよ。ま、すぐに桐野と別れるかどうかはわかんないよ」
「だよな…」
「桐野の復讐も、まだ終わってないよね」
「…だな」

最後には必ず僕を落とす真緒だった。

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