
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「最近楽しそうじゃん」
「あー、意識して楽しくしてる」
「おまえも大変だな」
もうすぐ、10月になる。センター試験の願書を
出さなければいけない。
川辺先生は、相変わらず僕のことを気に掛けて
くれて、医学部受験について三者面談では
かなり真剣にかけあってくれた。
その結果なのか、最近父さんは医療系の番組や
本を観たり読んだりしているらしい。
「意識して、そういう行動をしてると、いつか自分の地になるよな」
「…うん。そんな気がする」
だから僕は日常の些細なことも、わざと面白く
捉えようと努力している。
「で、真島のことはもういいのか」
「先生ー、それ言わんで…」
「あ、すまんすまん」
「先生、彼女おらんの?」
「いるよ。中学の同級生」
「へー…長いね」
「別に、ずっと付き合ってきたわけじゃないよ。何回も行ったり来たり。けんかして別れてまた戻って」
「…浮気したこと、ある?」
「あるよ」
意外だった。勉強ひとすじで来たと(勝手に)
思っていたから、彼女やら浮気やらという
ワード自体無縁なような気がしていた。
「浮気して、どうなった?」
「うーん、やっぱり彼女がいいって再認識したかな」
「再認識か…」
離れてみてわかることもあるってことだろう。
でも今の僕にそんな情状酌量の余地はない。
「先生」
「ん?」
川辺先生は、センター試験の対策問題を作って
いた。
「あー、意識して楽しくしてる」
「おまえも大変だな」
もうすぐ、10月になる。センター試験の願書を
出さなければいけない。
川辺先生は、相変わらず僕のことを気に掛けて
くれて、医学部受験について三者面談では
かなり真剣にかけあってくれた。
その結果なのか、最近父さんは医療系の番組や
本を観たり読んだりしているらしい。
「意識して、そういう行動をしてると、いつか自分の地になるよな」
「…うん。そんな気がする」
だから僕は日常の些細なことも、わざと面白く
捉えようと努力している。
「で、真島のことはもういいのか」
「先生ー、それ言わんで…」
「あ、すまんすまん」
「先生、彼女おらんの?」
「いるよ。中学の同級生」
「へー…長いね」
「別に、ずっと付き合ってきたわけじゃないよ。何回も行ったり来たり。けんかして別れてまた戻って」
「…浮気したこと、ある?」
「あるよ」
意外だった。勉強ひとすじで来たと(勝手に)
思っていたから、彼女やら浮気やらという
ワード自体無縁なような気がしていた。
「浮気して、どうなった?」
「うーん、やっぱり彼女がいいって再認識したかな」
「再認識か…」
離れてみてわかることもあるってことだろう。
でも今の僕にそんな情状酌量の余地はない。
「先生」
「ん?」
川辺先生は、センター試験の対策問題を作って
いた。
