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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

去年は文化祭があったから、今年は体育祭だ。
市高はそれらが隔年で、行われる。
3年生は受験があるから中心になるのは
1、2年生だけど、クラス対抗リレーや
ゲーム的な種目には参加する。
今日の体育はそのリレー選手を選ぶべく、
短距離走のタイムをとるらしい。

「うちら、流星でいいじゃん。流星は決まりなー」
「おい、勝手に決めんなよ」
「だって普通に速いじゃん」
「えーー」

というわけで、ひとりは僕に決まった。
あと3人。

「サッカー部と野球部でいいんじゃね?」
「あ、高橋と森と井川ね」
「はい決まりー」

タイムとるっつってんのに、もう決まってん
じゃん。

「練習でもする?一応」

サッカー部の高橋が言った。
他のやつらは先生の指示に従って、
バレーボールの練習だ。

「バトンパスだけしよっか。落としたらテンションだだ下がりだし」
「おう」

ふと、校舎の窓を見上げるとのぞみがこっちを
見ていた。…なんか、ダメだ。
それだけで頭の中が全部のぞみになる。

「で、手はこう?こっち?」
「え?」
「こう?」
「そうそう。んで、バシッと押し付ける感じでもらったら引っ張る感じ」
「おっけ」

井川と森も二人でパスの練習を始めた。

「高橋、身長どんくらい?」
「180」
「じゃあおれと同じだから、オーダーは高橋、おれ、井川、で森がアンカーね」
「身長関係あんの?」
「ある。身長差ありすぎてもバトンパスしにくいんだ」
「「へーーーー」」

いつも遠くから見ていた4継、たとえ
真似ごとでも、楽しくなってきた!
みんながやる気になっているのが感じられた。

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