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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

泣いてばっかだ…完全に弱ってる…

「『繰り返すたびに』何だよ?」

もっと…ずっと…

「何だよ?!早く言えよ、流星!」
「…生きたいって…思うんだ…生きていたいと、思うんだよ…」

僕は、のぞみに生かされてる。
のぞみが僕の生きる意味なんだ。
だから、今度こそ、ちゃんと。

「ごめん、おれ、言わせた…けどやっと言ってくれた。もう隠すなよ…おれたちみんな、いつ言ってくれるか…待ってた…」

…知ってた?

「最初に気づいたのはのぞみだよ。それからいろんなこと調べて、真緒なんかおまえの捨てた薬の袋、ゴミ箱から拾って…何の薬か調べて…最後はさとみんに聞いた」
「姉ちゃんの言うこと、真に受けるなって…」
「ひとりで泣くなよ。わかってやることはできないと思う。でも、聞くことはできるから。気ぃ紛らせるくらいならさ」
「…うん…うん。ありがと」
「けど、のぞみはすげーな」
「…のぞみは、いつおれを許したんだろ」

責められたこともない。問い質されたことも
ない。
ただ、のぞみはいつも広い心で笑ってくれた。

「…許す、って…責めたりとがめたりそんな感情があってこそだろ?のぞみには、そんなもの最初からなかったんじゃないか…?」
「そっか…」

のぞみは、知っている。
死に怯える人の気持ちを。
間近で見てきたその気持ちを僕にも見たんだ。

「要…愛のないセックスは、痛かったよ」
「…知るかよ」
「痛かったんだよ、心が」
「ごめん、おれ、愛のないセックスしたことねーわ」

それを聞いて僕は、心底自分が嫌になった。


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