
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「流星は、お姉ちゃんと違って真面目だもんね。何でも一生懸命、何でも完璧にしたがる、小さい頃からそうよ。他の人にもそれを求めたりして」
「…そうかな」
「子どもなのに、子どもらしいところがあまりなくて、母さん心配した。父さんが厳しくしたからかな…」
「確かに、父さんは今でもこわい」
口数は小野塚家でダントツに少なく、なのに
存在感はでかすぎる。
「流星。まだ18歳になったばかりでしょ。少し立ち止まってもいいのよ。今しか悩めないこと、たくさん悩んだらいいの。間違えてもいいの。流星には、未来があるの」
全部、逆だと思っていた。
もう18歳なのに、間違えてばかりで未来が
見えない…そう思っていたのに、母さんは、
全部逆のことを言う。
「…大きくなったと思ってたけど、まだまだ子どもね。いつまでたっても、ひとりでしか泣けないんだから」
「泣いて…ねーよ」
母さんは、立ち上がって僕に背中を向け、
水道をひねった。
…それが意味もなく、僕の胸をいっぱいに
させた。
階段をかけあがり、ベッドにダイブして
溢れてくる涙を枕で必死に止めようとした。
いつの間に、僕は18歳になったんだろう。こんなに、苦しいことばかりに直面することが
大人になるために必要なことだなんて、
知らなかった。
身体だけ、欲求だけが大人になっていくのに
心がついていかない。気持ちだけが、ずっと
子どものまま…。
僕は、鍵をかけた暗い部屋に閉じ込められた
ような気がした。
「…そうかな」
「子どもなのに、子どもらしいところがあまりなくて、母さん心配した。父さんが厳しくしたからかな…」
「確かに、父さんは今でもこわい」
口数は小野塚家でダントツに少なく、なのに
存在感はでかすぎる。
「流星。まだ18歳になったばかりでしょ。少し立ち止まってもいいのよ。今しか悩めないこと、たくさん悩んだらいいの。間違えてもいいの。流星には、未来があるの」
全部、逆だと思っていた。
もう18歳なのに、間違えてばかりで未来が
見えない…そう思っていたのに、母さんは、
全部逆のことを言う。
「…大きくなったと思ってたけど、まだまだ子どもね。いつまでたっても、ひとりでしか泣けないんだから」
「泣いて…ねーよ」
母さんは、立ち上がって僕に背中を向け、
水道をひねった。
…それが意味もなく、僕の胸をいっぱいに
させた。
階段をかけあがり、ベッドにダイブして
溢れてくる涙を枕で必死に止めようとした。
いつの間に、僕は18歳になったんだろう。こんなに、苦しいことばかりに直面することが
大人になるために必要なことだなんて、
知らなかった。
身体だけ、欲求だけが大人になっていくのに
心がついていかない。気持ちだけが、ずっと
子どものまま…。
僕は、鍵をかけた暗い部屋に閉じ込められた
ような気がした。
