
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「頑張れば何だってできるんだよ。才能がないとか、そういうこと言うな。野嶋には努力が足りなかっただけだ。おまえ、跳びながら何考えてた?おれのこと目で追って、おれのこと好きだとか考えてたんじゃねーのかよ。跳ぶことに100%意識傾けてたって言い切れるのか?」
「コーチですか…?」
「は?」
「そんなのわかってます。努力が足りなかったことくらい、わかってます。みんながみんな、小野塚先輩みたいに努力できるわけじゃないんです!」
「はっ…くだらね。おれ、べつにすごくないよ。諦めたくないだけだよ。野嶋も言ったじゃん。全部諦めたくないって。あの時、あ、同じだって思ったよ。初めてそんなやつに出会ったんだよ。でも今の話聞いてたら、違うな。野嶋はただ…」
野嶋は僕の前に回り込んで、キスをした。
「…何してんだよ」
「…ごめんなさい」
「謝るくらいなら、するなよ」
これ以上野嶋といたら、正気でいられる自信が
なかった。
僕は鞄とスパイクを持って立ち上がった。
「先輩…っ」
野嶋が僕の腕をつかんで、引き止めた。
「…いいってこと?」
部室の奥に区切られた休憩室がある。
野嶋は黙って頷いた。
ドアに鍵を閉め、小さい野嶋を抱きしめた。唇をあわせて、舌を絡ませた。
制服のブラウスを脱がせると、想像していたのと違う野嶋の身体に、僕は反応した。
なにも言わず、僕に抱かれ、僕を受け入れた。
「ああ…っ」「ん…っ…」
これで、本当に野嶋を傷つけてしまう。
僕のシャツを強く握る手に、のぞみのそれを
思い出した。
ベッドのシーツを、きつく皺が残るほど
握りしめていたのぞみの細い指。
ここにいるのが、のぞみじゃないなんて…
誠実でありたいと言ったばかりなのに、
何やってるんだよ…
こんなの、誰にも誠実じゃない。
のぞみにも、野嶋にも、自分にも。
僕は地獄に堕ちる。
きっと、運命に殺される。
今日この出来事だって理由のひとつなんだ。
「…先輩…これ」
「ん…?」
制服のボタンを留めていると、先に
休憩室を出た野嶋が僕を呼んだ。
部室に、桐野のスパイクが置いてあった。
さっきは、なかったはずの。
ベンチの上には、僕と野嶋の鞄が置いたままだった。
「どうしよう…ねえ、先輩」
僕は、あんなに心を開いてくれた桐野にとんでもない裏切りをした。
「コーチですか…?」
「は?」
「そんなのわかってます。努力が足りなかったことくらい、わかってます。みんながみんな、小野塚先輩みたいに努力できるわけじゃないんです!」
「はっ…くだらね。おれ、べつにすごくないよ。諦めたくないだけだよ。野嶋も言ったじゃん。全部諦めたくないって。あの時、あ、同じだって思ったよ。初めてそんなやつに出会ったんだよ。でも今の話聞いてたら、違うな。野嶋はただ…」
野嶋は僕の前に回り込んで、キスをした。
「…何してんだよ」
「…ごめんなさい」
「謝るくらいなら、するなよ」
これ以上野嶋といたら、正気でいられる自信が
なかった。
僕は鞄とスパイクを持って立ち上がった。
「先輩…っ」
野嶋が僕の腕をつかんで、引き止めた。
「…いいってこと?」
部室の奥に区切られた休憩室がある。
野嶋は黙って頷いた。
ドアに鍵を閉め、小さい野嶋を抱きしめた。唇をあわせて、舌を絡ませた。
制服のブラウスを脱がせると、想像していたのと違う野嶋の身体に、僕は反応した。
なにも言わず、僕に抱かれ、僕を受け入れた。
「ああ…っ」「ん…っ…」
これで、本当に野嶋を傷つけてしまう。
僕のシャツを強く握る手に、のぞみのそれを
思い出した。
ベッドのシーツを、きつく皺が残るほど
握りしめていたのぞみの細い指。
ここにいるのが、のぞみじゃないなんて…
誠実でありたいと言ったばかりなのに、
何やってるんだよ…
こんなの、誰にも誠実じゃない。
のぞみにも、野嶋にも、自分にも。
僕は地獄に堕ちる。
きっと、運命に殺される。
今日この出来事だって理由のひとつなんだ。
「…先輩…これ」
「ん…?」
制服のボタンを留めていると、先に
休憩室を出た野嶋が僕を呼んだ。
部室に、桐野のスパイクが置いてあった。
さっきは、なかったはずの。
ベンチの上には、僕と野嶋の鞄が置いたままだった。
「どうしよう…ねえ、先輩」
僕は、あんなに心を開いてくれた桐野にとんでもない裏切りをした。
