
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
梅雨明けすると、すぐに期末テストがあった。
それが終わって、高校生活最後の夏休みが
もうすぐ始まる。
久しぶりに要の部屋で、ゴロゴロしながら
漫画を読んでいた。
「おまえさ、」
「ん?」
ベッドに寝転んでいた要が起き上がって、
思い出したように僕の方をみた。
「前に、駅でおまえにコンドームあげたじゃん」
「ああ」
まだ1年生だった頃だ。あまりにも
バカ丸出しで駅であんなものを寄越したことは
忘れるに忘れられない。
「あれ、使った?」
バサバサっと、読んでいた漫画を落として
しまった。
「…使ったんだ?」
「あ…いや、うん」
「それってさ、のぞみと…じゃないよな」
要の顔が曇った。
「…うん。違う…」
「それは、聞いたらマズイよな…?」
「うん…」
「あのさ」
要は、ベッドから降りて僕の隣に座った。
近い。要のパーソナルスペースとやらは、
年々狭くなる。
「…気づかれんなよ。のぞみに」
「わかってるよ」
「いや、わかってない」
野嶋とは、あの1回きりだけではなかった。
野嶋の部屋で、何度も身体を重ねた。
最初は罪悪感にさいなまれていた。
のぞみにも、桐野に対しても。
でも、いつのまにか快楽に溺れてしまった。
細くて小さな野嶋の身体に覆い被さり、
僕は何度も欲望を放出した。
僕はあれから、陸上部にも顔を出していない。
おかげで川辺先生にも心配された。
「おまえ、ちょっと変わったんだよ」
「え?何が?」
思ってもみなかったことを言われて、僕は
驚いた。
「身長が伸びたとか、男っぽくなったとか、そういうのもあるんだけどさ…色気、っていうのかな?」
「うん。身長は伸びた」
「ほら、ずっとおまえのこと見てるだろ?いや、そういう意味じゃなくて」
「うん、わかる」
「違うんだよ。なんか変わったんだよ」
「え…」
どう変わったんだよ。
「それってさ、やっぱり女を知ったからだと思うんだ。やめろよ。1回や2回じゃないんだろ?取り返し、つかなくなるぞ」
「わかってる」
「だから、わかってないって!!」
要が怒鳴った。僕に対しては初めてだった。見た目はチャラチャラしてるけど、本当は
穏やかで優しい要が、大声で叫んだ。
それが終わって、高校生活最後の夏休みが
もうすぐ始まる。
久しぶりに要の部屋で、ゴロゴロしながら
漫画を読んでいた。
「おまえさ、」
「ん?」
ベッドに寝転んでいた要が起き上がって、
思い出したように僕の方をみた。
「前に、駅でおまえにコンドームあげたじゃん」
「ああ」
まだ1年生だった頃だ。あまりにも
バカ丸出しで駅であんなものを寄越したことは
忘れるに忘れられない。
「あれ、使った?」
バサバサっと、読んでいた漫画を落として
しまった。
「…使ったんだ?」
「あ…いや、うん」
「それってさ、のぞみと…じゃないよな」
要の顔が曇った。
「…うん。違う…」
「それは、聞いたらマズイよな…?」
「うん…」
「あのさ」
要は、ベッドから降りて僕の隣に座った。
近い。要のパーソナルスペースとやらは、
年々狭くなる。
「…気づかれんなよ。のぞみに」
「わかってるよ」
「いや、わかってない」
野嶋とは、あの1回きりだけではなかった。
野嶋の部屋で、何度も身体を重ねた。
最初は罪悪感にさいなまれていた。
のぞみにも、桐野に対しても。
でも、いつのまにか快楽に溺れてしまった。
細くて小さな野嶋の身体に覆い被さり、
僕は何度も欲望を放出した。
僕はあれから、陸上部にも顔を出していない。
おかげで川辺先生にも心配された。
「おまえ、ちょっと変わったんだよ」
「え?何が?」
思ってもみなかったことを言われて、僕は
驚いた。
「身長が伸びたとか、男っぽくなったとか、そういうのもあるんだけどさ…色気、っていうのかな?」
「うん。身長は伸びた」
「ほら、ずっとおまえのこと見てるだろ?いや、そういう意味じゃなくて」
「うん、わかる」
「違うんだよ。なんか変わったんだよ」
「え…」
どう変わったんだよ。
「それってさ、やっぱり女を知ったからだと思うんだ。やめろよ。1回や2回じゃないんだろ?取り返し、つかなくなるぞ」
「わかってる」
「だから、わかってないって!!」
要が怒鳴った。僕に対しては初めてだった。見た目はチャラチャラしてるけど、本当は
穏やかで優しい要が、大声で叫んだ。
